azucho's diary

読書メモや、育児記録、ワークライフバランスについてのあれこれなどを書いています。だだもれ系です。

[読書メモ][WLB] 男たちのワークライフバランス

こんばんわ。日中、ちびさんの相手をしまくったおかげですっかり寝落ちた父ちゃんを横目に、読書メモでも書いてみんとす。
 

今回は、読後、「意外にも良かったな」(し、失礼。。^ー^;)と感じたこちらの本。
 

仕事と子育て 男たちのワークライフバランス (幻冬舎ルネッサンス新書)

株式会社ヒューマンルネッサンス研究所 中間真一、鷲尾 梓(著)

http://book.akahoshitakuya.com/b/4779060338

 

タイトルの「男たちの」という視点に惹かれて。世の中、「仕事と子育て」の話になると、まだまだ何かと「女性側」への両立支援になりがちな気がするけど、実際はどうなんだろうかなと。

 

2008年3月に刊行された単行本の一部を書き改めて、

2010/12/15に発行された本とのことなので、まぁまぁ最近の視点かなと思いつつ、手に取りました。

新書で、具体的な事例が多いし、読み物風でさくさく読める。


読み始めて、「はじめに」で、おぉ確かにと思ったのは、
『相談できる相手も周囲にはめったにいない。「男は仕事ができてナンボ。家のことはカミさんに任せるのがいちばん」と言い切る上司には、とてもそんな相談はできない。』というくだり。
「仕事と子育て」の両立を図ろうとしたとき、共働きが一般的になってきた最近とは言え、女性よりもより一層、ビジネスの世界において”ドップリ”を当然として求められるという点で、男性の方が、よりハードルは高いんじゃないだろうか。

育児休暇の取得にしても、なかなか男性ではまだ「一般的」になっていないから、何かと壁だったりしますよね。

 

  • P.4, しかし、それでもなんとかもがきながら、あきらめずに前に進もうとしている男たちもいる。普通のサラリーマンが、会社でも家庭でも、できる限りに頑張っている。彼らこそ、「男たちのワークライフバランス」の真のパイオニアたちなのだ。


第一章から第三章までは、
『そんな男性たちの現実とホンネを徹底的に聞き取った、汗と涙の「イクメンへの道」、「赤裸々なイクメンの日常」ドキュメンタリーだ。』と、実例がいろいろ。

ふむふむ、最近の流れを網羅してるんだろうなぁ、と思いつつ読んでいた。

 

ここで改めて目次の大項目だけを挙げてみると。。

  • 第一章 男たちの育児
  • 第二章 男たちの”育休”
  • 第三章 男たちと家庭
  • 第四章 男たちのワークライフバランス
  • 第五章 夫と妻のハッピーライフバランスへ
     

第四章では、独自の【父親タイプ診断チャート】を掲示して、それぞれのタイプ別の分析、参考情報を挙げられている。
前半(第一章から第三章)の間は、ふむふむ、とどんどん読み進めてたけど、このタイプ別診断に入ってから、いろいろ気になる言葉も多くなり、ここからメモを取り始めた。


ちなみに、診断チャートによると、父親タイプ(子育て観)は下記の6つが挙げられている。

  • 積極パパ
  • 模索パパ
  • 仕事一直線パパ
  • おろおろパパ
  • クラシックパパ
  • 受け身パパ

 

多様な価値観や悩み・希望を持つ人々がいる。
それぞれがそれぞれのやり方で、その人なりのワークライフバランスを見出すきっかけを、とのことで、
各タイプへのヒントとして、参照情報がいろいろ書かれている。
そして、自分が当てはまるタイプ以外の情報も、全体を通して読むと、男性の子育てやワークライフバランスをめぐる現状を理解するのに役立つはず、とのこと。

 

私が気になってメモしていたのは以下のいろいろ。

 

■目まぐるしい成長

  • P.155, 少し大きい子どもを持つ人たちが、口をそろえて言うことがある。それは「本当に子どもに手のかかる期間は、実は短い」ということだ。
    子育て自体はずっと続いていくが、片時も目の離せない期間は短く、それは、子どもが目まぐるしく成長していく時期でもある。

・・・目まぐるしい成長。そうだよなぁ。。ほんとに、この乳幼児期の成長のすさまじさは、体験してみて初めて分かる気もする。
まぁ、それ以降ももちろん、何かと面白いことが続いていくんだろうとも思うんですけどね。
それにしても、いきなり「どーじょ」とかマネして言う、とか、びっくりします。(最近の我が家の1歳7か月、実体験であります。)

 

  • P.160, NPO法人ファザーリング・ジャパンが紹介されている(!)
  • P.161, ネット情報だけでは足りない部分を、セミナーやイベントといった”現場”をつくることで補ってくれる存在と言えよう。このような場に集まってくる父親たちは、ますます増えつつあるという。

おおお!ツイッター上でもいろいろ、発信情報等を見かけますよ!いろんな「とっかかり」があるというのは、心強いですよね~

 


■海外の”男の子育て”事情

チャート別診断の合間のコラムとして、【海外の”男の子育て”事情】も紹介されていたりします。

  • P.162, ベルギー、タイムクレジット制度。スウェーデン、フリーイヤー制度。働く人すべてのワークライフバランス

 

各コラムでは、海外の産休育休制度の紹介がされていたりするのですが、
国によっては、子育て中かどうかに関わらず、働く人なら誰もが取得できる長期休暇を導入する動きがあるといいます。

ベルギーでは2002年に「タイムクレジット制度」が導入され、最長一年間、仕事を中断して人生の充電期間にするのが狙いで、休暇中は国が所得の一部を保障。取得理由は、子育てのほか、起業準備や勉強などさまざま、とのこと。

 

  • P.162, 子育て期の人を周囲が支え、社会全体で子供を育てるという視点はもちろん大切だが、働く人同士の不公平感をなくし、何より、誰もが心身ともに健康で活き活きと働くために、働く人すべてのワークライフバランスを考えていく必要がある。

・・・うん、そうだよなぁ、とうなずきまくり。

 

 

■「権利」としてのワークライフバランス

  • P.174, 日本では、男性のワークライフバランスは「育児や家事の担い手として男性を家庭に戻そう」という文脈で語られることが多い。しかし、子どもの成長を見守り、暮らしを楽しむことは本来、男性自身のもつ「権利」と捉えられるべきではないだろうか。
  • P.174, 1996年に採択されたEU指令では、育児休業は「男女労働者の個人的権利」と位置づけられている。育児休業は、世帯単位で育児の担い手を保障するものというよりも、個人の子育ての権利を保障する制度として位置づけられているのだ。

 

へー、世帯単位ではないんだ!ちょっとびっくりしました。

 

■共働きによる、リスク回避

  • P.165, 仕事と家庭の責任を夫妻のどちらかが一手に引き受け、完全に分業化することは、何かあった時にお互いの役割をカバーしきれなくなるという、リスクが生じやすい時代になったと言える

 

雇用の不安定性等を背景とする将来への不安(夫ひとりの収入には頼れない)、性差による差別廃止の高まりや女性活用意識の浸透、妻が入院した場合等の対応、離婚率の上昇による「女性ひとりでも生きていける経済力を」という意識、などなど。。
何があるか分からないから、共働きはリスク回避だ、と。

 

  • P.168, 「夫は外で働き、妻は家庭を守る」と役割を固定せずに、「ともに働き、ともに家庭を守る」という夫婦のあり方は、”仕事”と”家庭”をめぐる負担やリスクをできるだけ分散するための”防衛策”としての意味を持っていると言えるだろう。


そして、この本の中で、いちばんココロに来たのがコチラ。↓

  • P.168, そして、それ以上に大きな意味を持つと考えられるのが、「ともに働き、家庭を守る」ことが、”夫婦の幸せ”につながるという捉え方だ。
  • P.168, 役割をはっきり分けているうちは、相手に対して実感を持って感謝することは難しい面もある。

 

「実感する」って、難しいよなぁ~、と妊娠出産前から思っていた。
仕事をしていて、男女によって周囲からの期待の大きさやプレッシャーが異なる場面(・・悲しいかな、ビジネスの現状としてまだまだあると思う)において、
「それぞれの持つ、本当のしんどさ」って、なかなか分からないよね、という話を、しばしばオットとしていた。実際に試してみたとしても、難しいだろうな、とも(完全に役割を交換することは難しいから)。
でも、少なくとも、しんどさの一端は、感じ取ることができるのではないか。想像力で補うこともできるし。

 

P168あたり、クラシックパパへのアドバイス的な部分が、読んでいていちばんしっくりくるのは、まだまだそれがスタンダードってことかな。自分の意識の中ですらも。。と、ちょっと考え込んでしまった。

 

<第五章>
■目の前の”波”を逃すな

  • P.179, ”男の子育て”を取り巻く法律や制度面の整備は、共働き夫婦の声も反映されて確実に進んでいる。
  • P.179, ”男の子育ての波に乗る”には、今こそ、早過ぎず遅過ぎず、すごくいいタイミングだ。これに乗らない手はない。これに乗ってこそ、さらによい波に乗ろうとする気持ちも湧いてくるはずだ。

 

「一歩前に進んでみよう」というオススメ。
ただそうは言っても、「なんとなく拭いきれない不安」が残っていないか、、そうだよなぁ、、とうなずきつつ、読み進むと、「損をしないワークライフバランスへ」という見出しが出てきます。


 

■損をしないワークライフバランス

  • P.185~, 特に男性の場合には「ワークライフバランスが大事、制度を利用しよう」という国や企業の掛け声はまだまだ一過性の建前にすぎないと思っている人も少なくないはず、周囲のキャンペーンは盛り上がっているけれど、当事者の意識は盛り上がりきっていない、そう感じる原因に、「仕事という成果競争からの脱落を余儀なくされる」という不安を払拭できないことが、やはり大きいようだ。
  • P.186, ワークライフバランスの制度を利用したために、昇進昇格が遅れたり、キャリアの損失を招いたりするのでは、手放しに喜んで活用する気にはなれない。
  • P.186, 女性にとっても同様だ。女性のための子育て支援制度ができればできるほど、これまでの「女は家庭」だけでなく、今度は「女は、仕事も家庭も」が当たり前という具合に、さらに負担を重くしてしまうことになりかねない。
  • P.186, 結局、当事者にとって”得”にならない限り、少なくとも”損”になる不安を払拭できない限り、制度を積極的に利用しようという意識は湧きにくいだろう
  • P.187, もちろん、ここで言っている”得”とは、仕事上の得や収入面の得だけとは限らない。それと同等かそれ以上に、家族の幸せ、自分自身の幸せだって、大きな得なのだ。だからこそ、「自分たちの暮らしにとって、得になる大きなチャンスだ。少なくとも、損はしない」そういう確信を持てるようにしなくてはならない。そうしてこそ、子育ての価値を自ら実感できるし、仕事上の不安も払拭できて、一歩踏み出そうという意識も育まれるのだから。
  • P.187, スウェーデンやオランダにおける法律や施策は、生活者・働き手の損とならないことを保障する部分が充実している。ゆえに、個々人が心おきなく制度を利用し、バランスの取れた生活が実現できているのだろう。

 

やっぱり法律や制度による保障は必要、ということでは? スウェーデン(パパ・クウォータ制)やオランダ(ワーク・シェアリング、同一労働同一賃金の徹底)の事例をみていると、そう思う。

個人個人の意識改革だけでは、どうにもならないことがある気がする。。

少子化対策が重要、と言いつつ、ビジョンが明確でない気がする日本。もちろん諸外国の例がすべて良いとも言えないだろうけど、なんだかなかなか出口とか方向性が見えなくて、しんどい感じ。

まぁそうは言いつつも、自分ができることは毎日の生活を精一杯がんばる、くらいしかないのかなぁ。。ひとまずは。


なんか意外と疲れた読書メモ作成だった。さらっと記録しとこう、くらいのつもりが。。ふぅ。
ひとまずおしまい。