[読書メモ][両立][WLB] 『家事労働ハラスメント』を読んで ~まずは見えるようにすることから~
こんにちは。
節分も終わりましたがまだまだ寒い今日この頃、インフルエンザの流行等にもドキドキしつつ、おうちにいたり出かけたり、元気にやっております。
坊(もうすぐ5ヶ月)の体の動きから、寝返りするのも時間の問題な予感でして、スタバのソファに坊を横たえて読書できるのもあとわずかな感じ・・(笑)
さて。twitterで話題になっていて知った本、『家事労働ハラスメントーー生きづらさの根にあるもの』(竹信三恵子・著)を読みました。
家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの (岩波新書)
- 作者: 竹信三恵子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/10/19
- メディア: 新書
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読んでいる途中でメモっていたもの(感想や印象的な箇所など)をまとめたのがコチラ ⇒
こべにさんのブログでも、とても分かりやすく書評解説してくださっています。
あるのに、見えない家事育児 〜「家事労働ハラスメント」を読みました〜
いつもながら、簡潔かつ悲観しすぎない文章、ほれぼれです。
ていうかこの記事を読むとそりゃぁもういろいろ伝わるので、わざわざ今から私が感想ブログ書かなくてもいい気がしてきた・・ww
さてさて、ここからが感想です。(←いちおう私も何か書きたいらしい w)
読み進むにつれて、すごい本だなぁと思いました。
取り扱っている問題は重い、でもどんどん読み進む、しかし対策としてはどうしたらいいんだろう、とモンモンもする、、、
この本で取り上げられている問題は、「実際に今、家事労働をしている人」だけにとどまらないものだと思います。
むしろ、その周辺の、「どうして家事労働をしている人としていない人が存在するか」の問題などにも切り込んでいるというか。
生きていく限り、生活していく限り、家事労働は発生するもので、誰しも避けては通れないはず、なのにあたかも「無いかのように」ふるまっていたり設計されたりしている現状がある。
『家事労働ハラスメント』というタイトルが分かりにくいかも、という指摘も目にしましたが、読み終えた今、「じゃあどういう言葉がよりしっくりくるのだろう?」と考えると、これ以外の言葉は確かに見当たらない気もします。
私の感じたことをひとことでいうと、今まで家事労働を「見えないことにしてた(されてた)」ことが引き起こす様々なゆがみについて、とても丁寧に解説されている本だな、ということです。
両立に関わる問題であるとか、ワーク・ライフ・バランスであるとか、そもそもの男女差別であるとか、今までにいろいろな問題を見聞きしてきて、あちこちで(自分も含めて)それらの問題のつらさを体感してきた、まっただ中でもある。そんないろいろな問題について、共通の軸を与えられた、そんな感覚がありました。
それは、今まで意識していなかった切り口でもありました。
どうして、共働きなのに夫婦のうち片方に家事が偏りがちなのか?
長時間労働の慣習が諸悪の根源なのか?
・・しんどさには様々な理由があるにしても、「家事労働が存在しないかのような」「家事労働をしなくても良い人材の、全時間をあてにした」働き方を求める世の中である、ということ、すなわち「見えないことにしてた(されてた)」ことが、ひとつの理由なんだな、と分かりました。それが歴史的な経緯(男女雇用機会均等法や、労働者派遣法の変遷など)を読み解く際にも、ことごとく響いていることも。
そしてもう一つの軸として、「再分配」というキーワードがあると感じました。
「見えないことにしてた(されてた)」家事労働 、これをまずは見えるようにする。
見るようにする。
長時間労働の問題も、労働と労働の間の「休息時間」設定についても、「家事労働が存在する」ことを前提にして考えれば、今とは全く異なるのではないか。
そして家事労働を担うのが特定の性別や人に偏るのではなく、個人の努力にだけ頼るのでもなく、公正な再分配を行うために、公的な仕組みも取り入れていく、それが今後に必要なことなのではないでしょうか。
本の中ではオランダの事例も挙げられていましたが、もともとは「女性は家庭で育児」という風潮だった国という点もあるとのことなので、日本にとって、参考になる面はたくさんあると思います。
本当は、スウェーデンを目指すべきなのかもしれません。オランダの人々が「男女平等度ではとても及ばないけれど」と引き合いに出していたというスウェーデン。女性の経済的自立、女性を「納税者」に変えていったとされるスウェーデン。
女性の貧困も大きな問題だとされる日本ですし、本当に目指すべきは経済的自立も含めた男女平等なんだと思います。ただ、一足とびに男女平等を実現するのも難しいと思うし、まずは一歩ずつ、という気がします。
〇〇を目指そう、というのは、やみくもにその国を礼賛することではありません(風習なども違うことですし)。ただ、その国の実現してきた道筋や、その国が直面してきた危機と抱いてきた問題意識に、何らかのヒントがあると感じるから、参考にしたらいいのではと思うわけです。
じゃあ、何が第一歩になるんだろう。
と考えて、私はここの記述に思い至りました。
『まず、外で働くか家庭内だけで働くかを問わず、家事労働を担う人々を横の関係で結ぶネットワークを強めることだ。』(p.228)
ネットワーク・・・! SNSもネットワークだよね?!
こうやってtwitterで本をおすすめされて読んだりすることも、その感想をつぶやくことも、少しはネットワーク強化の助けになってたりしないかしら??
また、こうも言っています。
『家事の担い手とされてきた女性が意思決定の場にほとんど参加していない日本では、仕事と家庭を両立できる労働時間が必要な人々がばらばらに切り離され、自分たちに必要なものを意識することさえまれだからだ。』(p.228)
そう、これも、意識すらしていなかったというところから、だんだんいろいろな人々が気づきはじめている、のかもしれない。。
さらに具体的には、
『そうしたつながりを基盤に、労働時間の長短によって差別されないパートの均等待遇、週末の休日だけでなく、仕事の後で家庭生活を送れるだけの一日当たりの労働時間規制の立て直し、欧州のような残業に歯止めをかけるための一日11時間は連続して働かせない「休息時間」、保育や介護などの公的福祉サービスの整備、そして、女性や家事労働者の意見も反映できる労組づくりなどによって、家事を担いながらでも安心して働ける仕組みを強めていくことだ。』(p.228)
ふおぉぉ、やはり道のりは長い、と思ってしまう。。でも、一歩目を踏み出さないことには始まらない、ですよね。
私ができる一歩目、ってなんだろ、って思った時に、つぶやきのまとめであったり、ブログを書くことであったり、するのかな~と思いました。ほんとにささやかなんだけど。どういう効果があるのかも分からないけど。とにかく感想を書きたい、そういう衝動はハッキリ感じました。
・・・読んだあと、「あぁ何かしなければ、したい」という思いに駆られるのも、「何をしたらいいのだろう?」とハタと止まってしまうのも、以前『迷走する両立支援』という本を読んだときの想いに非常に似ていました。
(ちなみに私がこのブログを書き始めたきっかけは、『迷走する両立支援』を読んだ衝撃で、感想を書きたいと思ったことでした。
【読書メモ】迷走する両立支援 ~その0:きっかけ - azucho's diary)
見えないものとされていたものを、まずは見えるようにすること。ここからじゃないかなと思います。
『ワーク・ライフ・バランス政策の根幹は、家事労働の再分配にある』(p.219)
うまく「再分配」の流れに乗るといいのに、と思います。それは男女や働き方の違いにかかわらず、より良い生活へとつながる気がするから。
☆ (あぁ、書いているうちに、ソチ・オリンピックの聖火が!点灯!!)
☆☆ (こべにさんのブログ記事にもあった、wlb_cafeのリアルイベント、私も参加予定です! いろいろお話できたら、と楽しみにしております~♪
ワークライフバランス・カフェ「リアルcafe」〜参加者のみなさん・スタッフ交流会〜 : ATND)